日常生活におけるサポートについて


《はじめに》

ブラインド(盲人)の方々をサポートする際に気をつけて欲しいことを、いくつか掲げておきます。個人の体験をもとに書いていますので、間違っていることやおかしいことがあるかもしれませんが、その辺は各自の判断で修正してください。また、「ここはこうしたほうがいいのでは?」というアドバイスがあれば事務局までご連絡ください。


《普段の生活で》
全盲と弱視
 今回の参加者には全盲(まったく目が見えない方)と弱視(ぼんやりと人の姿が見えたり、色の判断がある程度できる方)の方がいらっしゃいます。また、弱視の中でも視野狭窄といって、左右上下の見えている範囲が晴眼者(目の見える人)に比べて極端の狭い人がいたり、たった10人の中にもいろんなタイプの盲人がいらっしゃることを頭に入れておいてください。

歩行の際
 基本的には白杖(はくじょう)と呼ばれる、白い折畳式の杖を使って移動します。一人出歩くときはこの杖で段差を確認したり、障害物を発見したりしています。サポートにつく場合は、肩か腕を貸して盲人と常につながっている状態を保ちます。男性が女性盲人をサポートする場合は腕、女性が男性盲人をサポートする場合は肩がベストポジションです。ただ、トイレのことがあるので、同性がサポートするほうが何かと不便がありません。手と手
 サポートといっしょに歩くときは、ブラインドの方はいつもよりも少し気を抜いています。白杖を使っていても、神経はお話に夢中になってしまう場合もあります。一人で歩くときよりも、サポートと二人で歩いている時の方が躓く人が多いかもしれません。ですから、サポート側は話をしていても、段差や障害物には常に気を払い、「前に10cmくらいの段がありますよ」とか「ここから階段を上がりますよ。5段あります」と言って上げてください。あまり神経質になる必要はありませんが。

トイレの際
 肩を貸したまま、トイレまで誘導します。男性の場合は便器の位置を手を持って教えてあげてください。終わったら、洗面台の場所まで誘導し場所を教えてあげてください。個室を使う場合は、個室の前まで誘導し、洋式なのか和式なのかを知らせます。縦向きか横向きかも教えてあげると親切です。また、流水のボタンが変わった場所にある便器があるので、その時はボタンの場所も教えてください。
 同じトイレを使う場合はその場所まで誘導するだけで大丈夫です。

食事の際
 最初は、手をとって皿の位置、コップの位置を教えてください。特に汁物やコーヒーなどの熱いものはどこに置いてあるのか知らせてあげてください。慣れると「正面には焼き魚、右手にご飯茶碗、左手に焼き鳥があるよ」と言ってあげれば、頭の中でイメージして箸や手で場所を確認しながら食べ始めます。変わったものを出したときは、「それは○○で辛いけど大丈夫?」とか言ってください。


その他
 自分の持ち物を彼らは色で覚えています。自分では見ることができませんが、例えばカバンを見失った時に「紫の四角いバックがこのあたりに落ちていませんか」と聞いてきます。ですから、サポート側から聞くときも「紫だけど、白い斑点模様がついているバック?」という感じでコミュニケーションしてください。
 
 


 いろいろと書きましたが、あまり堅く考えないでください。「こうしなきゃダメ」というつもりで書いたわけではありません。やり方が間違っていたり、やりにくく感じたら、彼らのほうから「こうしてくれるかな」とはっきり言ってくれるはずです。
 それと、あまり手取り足取りでやると相手もうっとうしいはずです。このあたり、最初は難しいところですが、慣れてくればどこまで言えばいいのか、どこまで伝えればいいのかが分かってくるはずです。やってあげる、という意識ではなくお互いにできないところをお互いが補い合う、という考え方で接すれば、自然なサポートができると思います。

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